東京高等裁判所 昭和61年(ラ)564号 決定
本件及び記録添付に係る別件記録によると、本件競売は仮処分決定により七年以上の長きにわたり手続が停止されていたところ、昭和六〇年一二月二六日に仮処分取消しの仮執行宣言付き判決があり翌二七日に手続続行の申立てがされたこと、本件不動産につき右競売手続停止中の申立てにより二重開始決定がされた記録添付に係る後行の競売事件において本件と同じ評価人中村庄蔵により昭和六〇年一一月一四日に不動産の評価がされ、その結果評価額を一三三九万円とする評価書が提出されていることが明らかである。そうすると、本件は七年余にわたる手続停止後の続行である以上、本来であれば評価人に再評価をさせた上最低競売価額を定め直すべきものであるけれども、たまたま本件の手続続行の直前に記録添付に係る後行事件において右再評価に照応すべき評価書が提出されているのであるから、(後行事件につき続行決定をしないで評価を命じたことの根拠は定かでないにしても)続行後に重ねて再評価をさせるまでもなく、右後行事件における評価を斟酌して最低競売価額を改定しさえすれば足り、またその改定だけはしなければならないものである。ところが本件においては当初の最低競売価額一〇〇五万円を改定することなく競売に及んだのであり、このことは記録上明らかであるから手続の瑕疵を免れないものというべきである。しかしながら、本件競落に係る競買価額一四〇〇万円は後行事件における右評価額を上回るものであり、また記録によると他に競買の申出のなかったことが明らかであるから、本件においてはあたかも右評価額に従って最低競売価額を改定するという正規の手続によった場合におけると同じ結果がもたらされたことになり、右評価額が不当に低廉なものでない限り本件競落は結局において違法でないものということができる。
(賀集 安國 伊藤)